「AIで動画も企画も作れる時代に、わざわざスタジオを使う意味はあるのか」──そう感じているイベント担当者・映像制作者の方も多いのではないでしょうか。
この問いへの答えは、GMOサムライコンテンツスタジオの合弁会社設立相手である株式会社サムライパートナーズの20周年感謝の会で、GMOインターネットグループ 代表取締役グループ代表・熊谷正寿氏が贈った祝辞の中に語られていました。
本記事では、その祝辞の内容から、GMOサムライコンテンツスタジオが誕生した背景と「AI時代の差別化」の考え方を解説します。
GMOサムライコンテンツスタジオとは?誕生の背景
GMOサムライコンテンツスタジオは、GMOインターネットグループと株式会社サムライパートナーズの提携によって、2026年春に誕生した会社です。
両社の関係は、サムライパートナーズ代表・入江巨之氏が29歳で上京した頃の記憶にまで遡ります。
入江氏は当時をこう振り返っています。
29歳で東京に来た時、最初は渋谷でホテルを借りて、出張レベルでずっと来ていた。
そこに2週間ぐらい泊まりながら仕事をしていた。
その時に街の看板を見るとGMO、GMO、GMOっていっぱい書いてあって、あれを見た時にこんな大企業すごいなと、いつかこういう会社と商売ができたらいいなと思っていた。
そして今まさに、GMOと一緒に会社までやらせていただくという形になっている
登壇した熊谷代表は、まずサムライパートナーズの20周年を祝福した上で、入江氏との関係について次のように語り始めました。

入江君と巡り合ってちょうど5年、皆さんの歴史の中で4分の1ご一緒させていただいている。
この5年間、入江君とご一緒して、今スピーチをされたヒカルさんが代表例だが、華やかさの中に努力、そして覚悟を持つヒカルさんのような表現者を見出し、信頼関係を結び、その信頼をもとに実績につなげていく、結果につなげていく。
しかも時代の一歩先を行っている、半歩先を行っている、マーケットのことがわかっている。
そのような経営力は、私の周りで入江君はピカイチ、素晴らしいと評しています。
この評価を踏まえ、熊谷代表は自ら合弁を提案したことを明かしました。
私から今回の合弁をお願いしたいとご相談を申し上げた。
今申し上げた経営力、私の周りにはない経営力とGMOインターネットグループがご一緒すれば、さらに新しい時代を開いていけるのではないかなと思ったからご相談申し上げた。
結果、今年の春にGMOサムライコンテンツスタジオが誕生した。
我々の持っておりましたこの用賀のビルのこのスタジオ、青山の先日ヒカルさんにご紹介いただきましたスタジオ、そして渋谷の先日ご紹介いただきましたスタジオ、3つを合わせてこのGMOサムライコンテンツスタジオとさせていただいた。
会社が20年続く確率は0.3%──協業が持つ意味
なぜ、企業同士の協業がここまで重視されるのでしょうか。
熊谷代表は、会場に一つの問いを投げかけながらその理由を説明しています。

会社が20年持つのはどのくらいの確率かご存知でしょうか。
会社というのは誰も失敗しようと思わない。
今、日本では1ヶ月間に1万社の法人・事業所・店舗が設立されている。
1万人の社長さんたち、誰ももちろん失敗しない、自分だけはうまくいくと思って会社を作っているわけです。
ところが、5年で何割消えると思いますか。
5年で70%の方が畳まれるんですね。
10年で実は97〜98%の方は事業を畳む。
なんと20年生き残れる確率は0.3%だそうです。
すなわち300人に1人の社長さんしか20年残れない。
それは入江さんと皆さんはその0.3%に入られたということです。
そしてこの数字の変化が証明しているように、さらにこの先角度が低くなっていく。
この先の10年をそういう意味でご一緒に手を携えながら、ちょうどGMOは30年。
ですからそういう意味では、我々は40年目、入江さんは30年目。
ベンチャーは協力し、競い合いもいいんですけど、やっぱりベンチャーは協力することが大企業に対しての力になるので、お互いに協力し、強みを生かし合い、お互いに認め合い、新しい次の10年をご一緒に築きましょう。
AI時代に「スタジオ」が差別化になる理由

ここで、冒頭の疑問に戻ります。
「AIで何でも作れる時代に、なぜスタジオが必要なのか」。
熊谷代表はこの疑問を自ら口にしながら、答えを語っています。
さて、これから10年何が一番重要かというと、それは言うまでもなく、AI、ロボティクス、フィジカルAIになる。
映像の世界にも、AIが最も影響を与えているはずです、そうですよね。
この中にはもしかしたら、AIの時代にスタジオいるんだっけ?って内心思われている方もおられると思います。
私の回答は、スタジオこそが差別化になるという。
そういうふうに真剣に思っていて、投資を続けています──熊谷代表はそう明言しました。
その根拠として熊谷代表が挙げたのが、GMOインターネットグループ自身が下した「完全出社」への転換です。
なぜならば、ここ最近ちょっと私の発言で炎上したんで、出社回帰。
GMOは在宅をやめまして、在宅推奨をやめて、もう完全出社に戻したんですね。
コロナの時に一番最初に在宅って言ったのもGMOなんですけど、一番最初に自分たちの判断でやめて、完全に取りやめると言ったのもGMOが一番最初。
同じ理由なんです、と熊谷代表は語ります。
AIの時代だからこそ、人と人が目を見つめ合って、意見を交わし、喧喧諤諤議論して生まれるアイデア、発想が、AIではできない差別化なんです。
AI否定じゃないですよ。AIと人間の交わりが大事だという。
AIに加えて、映像の世界、AIすごい影響を与えてますよ。
だけど、AIだけでできることは、AIだけでできちゃうから、同じになっちゃうんですね。
究極同じになっちゃう。
プロンプトの違いだけになって。
だって同じエンジン使ってるんだから。
だから、AIフル活用しながら、スタジオを使えば差別化できるんですよ。
それはハードウェアってこともある。
それだけじゃありません。ここで集まって議論する全員の知恵です。
GMOサムライコンテンツスタジオが目指す「3つの差別化」
熊谷代表は最後に、スタジオが生み出す差別化を3つの要素に整理し、祝辞を締めくくりました。

ハード、知恵、AI、この3つの差別化で、今後もこの先10年、素晴らしい社会をどんどん沸かせる、素晴らしいコンテンツを作り続けてください。
以上、私からのお祝いの言葉に代えさせていただきます。
この度は20周年、本当におめでとうございます。
おめでとうございます、誠にありがとうございました
まとめ
GMOサムライコンテンツスタジオは、GMOインターネットグループとサムライパートナーズという、それぞれ20年・30年という節目を越えてきた2社が、5年間の協業を経て設立した会社です。
用賀・青山・渋谷という3つのスタジオを一つにまとめた背景には、単独で生き残る確率がわずか0.3%という現実の中で「協業こそが力になる」という熊谷代表の考え方がありました。
そして熊谷代表が語ったとおり、AIが映像制作の在り方を大きく変える今だからこそ、人が実際に集まり、議論し、モノを作る「スタジオ」という場の価値は失われていません。
AIをフル活用しながら、ハードウェア・人の知恵・AIという3つの強みを掛け合わせられること。
それこそが、GMOサムライコンテンツスタジオがこれからのコンテンツ制作で目指す差別化の姿だといえるでしょう。

